コインチェックのネム(XEM)流出事件を皮切りに、金融庁による厳しい立ち入り検査が各取引所を対象に進められています。
先日行われた、立ち入り検査ではコインチェックを含む7社に業務改善命令がでる事態になりました。行政処分された取引所の中には、「Zaif」や「GMOコイン」などの大手取引所も含まれています。
今回の業務改善命令を受けて、コインチェックは都内で記者会見を実施しました。
コインチェックがとる今後の対応
記者会見では、コインチェックの和田社長、大塚取締役をはじめとする幹部が、今後の対応について記者からの質問に応答しました。会見の動画はこちらからどうぞ。
ネムの補償について
2018年1月26日、コインチェックは、ハッキングによって流出したネム(XEM)について、近日中に補償を行うとの声明を発表しました。
以下、会見中に行われたネムに関する質疑応答をまとめたものです。
ネム補償の具体的な内容は?コインチェック:当初の予定通り、ウォレットからネムが流出したアカウントに対して、日本円で補填する。
補填対象者は約26万人いると言われているがマネロンを疑われる人物がいた場合どうするのか。
コインチェック:基本的に本人確認をしっかり行っている。現時点ではマネロン対象者などはいない。
なぜネムは日本円で返すのか。強制利確で税金がかかるのでは?
コインチェック:複数の法律事務所に相談した結果、日本円での返金となった。税金に関しては国税庁と協議中。
ネムの補償額は約88円のままなのか?
コインチェック:前回説明した「1XEM = 88.549円 」のレートで補償する。
今後、ネムはどのように管理するのか?
コインチェック:コールドウォレットを使用して管理する方向で検討している
ネムの補償については、以前から発表されていた内容が多かったようです。ただ、気になるのは補償される日本円に対して税金がかけられるのかどうかですね。
今回の補償が国税庁によって強制決済と見なされた場合は、前日発表された仮想通貨に関する税金の取扱に基づいて、課税対象になってしまうアカウントも出てくることになります。
今後の業務について
会見ではネムの補償と同時に、コインチェックの経営に関する質問も数多くされました。中にはネム流出の経緯についての質問もあり、具体的な流出経路が判明したもようです。以下がその内容です。
幹部の辞任もあり得るのかコインチェック:今後の調査次第では、その可能性もある。
現在、停止している出金機能を一部再開したら出金を希望するアカウントが集中するのではないか
コインチェック:会社の資金とは別に、顧客の資産を管理しているので出金が集中してもサービスを継続することは可能であると考えている。
感染の経緯は?
コインチェック:複数の社員の社内PCに届いたメールからマルウェアに感染した。
仮想通貨取引所全般に送られるようなメールの内容だったのか
コインチェック:「コインチェックに特定した内容」のマルウェアだったと認識している。
今後取り扱うアルトコインの種類に変更はあるのか
コインチェック:各仮想通貨のリスクを再度検討した上で、リスクの高い仮想通貨に関しては削る場合もある。
マルウェアとは「ウィルス」や「トロイの木馬」などのプログラムに害をなすソフトウェアの総称です。今回の会見を見てみると、このマルウェアに感染したメールが、各取引所めがけてランダムに送信されたわけでは無く、コインチェックに特定して送信された可能性が高いようです。
過去の会見と比べて前向きな印象のコインチェック。ZaifとGMOコインはどう動く?
今回の会見のメインとなった発表は「ネムの補償は1XEMあたり88.549円のレートにおいて日本円で補償する」「来週を目処に一部の出金機能を再開する」この2点でしょう。
過去の会見と比較すると、時期や金額についてすっきりした回答が多かった印象がありますね。コインチェック内に仮想通貨を保有しているユーザーにとっては、ひとまずホッとする発言が多い会見だったのではないでしょうか。
また、コインチェックは金融庁が指定する「仮想通貨交換業者」の登録を目指し、今後も継続して業務を改善していきたいとの意思も会見中に表明しています。
一方、今回の立ち入り検査に関して見逃せないのがZaifとGMOコインへの業務改善命令です。公式ホームページをチェックしてみると、どちらもシステムリスクの管理体制に対して財務局から改善命令が出ています。
GMOコインは2017年に金融庁の認可を受けていただけに、今回の結果を聞いて驚いた方も多かったのではないでしょうか。
どちらの取引所も、サービスに影響はないとしていますが、今後の動向に注目が集まっています。